調査レポート「不動産ストックに対する環境改修投資の促進に向けて」を発⾏
株式会社⽇本政策投資銀⾏(本社︓東京都千代⽥区、代表取締役社⻑︓地下 誠⼆、以下「DBJ」)、DBJ アセットマネジメント株式会社(本社︓東京都千代⽥区、代表取締役社⻑︓草彅 健、以下「DBJAM」 )、株式会社⽇建設計(本社︓東京都千代⽥区、代表取締役社⻑︓⼤松 敦、以下「⽇建設計」)および株式会社価値総合研究所は、共同で「不動産ストックに対する環境改修投資の促進に向けて」と題した調査レポートを発⾏しました。
DBJ、DBJAMおよび⽇建設計の3社は、2022年11⽉に、各社の不動産関連事業の強化および国内不動産業界におけるカーボンニュートラルの実現に向けた環境改修モデルの構築とその普及・浸透を目的とする協業(以下「本協業」)を開始しました。今回の調査は、本協業に基づく取り組みの1つとして実施したものです。
2050 年カーボンニュートラルの実現に向けた国際的な潮流の中、各産業分野での国内目標達成に向けた動きが加速しており、不動産業界においても投融資サイド・テナントサイドといった需給双⽅で環境意識が変化しています。この変化に加えて、After コロナによる働き⽅・働く場所の多様化、都⼼ではオフィスビルの⼤量供給もあり、相対的に築古中⼩ビルの競争が激化しています。今後、既存ビルにおける競争⼒維持のためには、⼈⼝減少やストック余剰・建築費⾼騰・環境負荷等を背景に新築ビルへの建替の意思判断がしづらい現状があることから、改修により環境性能(※)向上を図ることが必要となり、特にストック全体の多くを占める築古中⼩ビルの改修に注目が集まる可能性が⾼くなっています。
※ 「環境性能」とは、省エネルギー性等の環境配慮に関連する性能を指す。
今回の調査レポートのポイントは、次のとおりです。
サプライチェーン全体での環境への配慮・関連情報の開示が求められる等、⼤企業における企業責任範囲の拡⼤を背景に、中⼩企業においても環境への意識が⾼まっています。こうした流れを受けて、環境性能を重視するテナント企業が増加する中、既存ビルにおいては、新築ビルへ建替えるには建設廃棄物の発生や多量の資材投入が必要となり、環境負荷が⼀定程度発生することに加え、⼈⼝減少による需要の先細りや、ストック余剰、建築費⾼騰や環境規制の強化に伴い、新築ビルへの建替の意思判断がしづらい現状があることから、環境性能向上を図る改修工事(=「環境改修」)が必要とされています。特に、中⼩ビル(延床面積1万㎡未満)は東京都区部でストック全体(延床面積)の 40%、地⽅都市で 60%以上を占めており、また新築ビルと比較して環境対応ビルの割合が少ないことから、カーボンニュートラル実現に向けた産業別の目標達成の上でも築古中⼩ビルの環境改修は重⼤なテーマといえます。
⼀⽅、環境性能向上には相応のコスト負担を要することから、適正な賃料上昇につなげ、環境負荷低減効果と経済効果のバランスを両⽴させていくことが課題と考えられます。そのためには、個別物件の設計・仕様に合わせて、費用対効果を検証の上、最適な要素技術を組み合わせた環境改修を⾏うと同時に、空間的な魅⼒向上に資する工事を複合的に実施しバリューアップに繋げること、あるいは、経済合理性が低いと判断される場合は、柔軟な用途変更等を視野にビルの収益性を維持していくことが肝要です。更に、ビルの環境性能に関する付加価値を定量的に可視化し、これをエンゲージメントツールとして活用することで、テナントに対する賃料訴求⼒の向上や運営の⾼度化に繋げていくこと、ひいては環境性能に係る開示・格付け基準の統⼀化の動きや、複数の環境認証における将来的な整合化の可能性に備えていくことも求められていきます。
不動産投資市場において環境改修投資を持続的に促進していくためには、市場原理に基づく対象ビルの選別や柔軟な用途変更も視野に、経済合理性を担保しながら環境性能向上を推進する必要があります。加えて、カーボンニュートラルを目指した地域・街づくりのために既存ストックの環境性能の引き上げを進める必要があることから、政策面からの支援も期待されるところです。具体的には、経済性を担保するための規制緩和・減税・補助等の支援により環境改修市場の成⻑を後押ししていくことが有効と考えられます。
DBJ グループは、不動産証券化分野における投融資等の実績・ノウハウを活用し、⽇建設計との事業展開および環境改修モデルの普及・拡⼤を進めるとともに、⺠間⾦融機関等と連携して、お客様のニーズに対応し、不動産⾦融市場の更なる活性化を支援してまいります。
⽇建設計は、本協業を通じて蓄積した環境改修のノウハウを活用し、都市と建築のカーボンニュートラルを先導することで、新しい社会ニーズに応える多様な価値創造を推進してまいります。
詳細は、DBJ ウェブサイト「調査研究レポート 」に掲載していますので、ご参照ください。
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